6次産業は、1次産業である農林漁業に携わる業者が、加工・製造(2次産業)や流通・販売(3次産業)にも主体的に関わり、地域資源に新たな付加価値を生み出していく取り組みです。
「秋田県の6次産業化に寄与し、秋田産の良い食材をもっと世の中に広めたい」とのコンセプトで創業した(株)あきた六次会は、オリジナルブランド鶏「火内鶏(ぴるないどり)」の養鶏から製品加工、販売まで手がけます。
代表取締役の白川懸士さんにお話を伺います。

6次産業は、1次産業である農林漁業に携わる業者が、加工・製造(2次産業)や流通・販売(3次産業)にも主体的に関わり、地域資源に新たな付加価値を生み出していく取り組みです。
「秋田県の6次産業化に寄与し、秋田産の良い食材をもっと世の中に広めたい」とのコンセプトで創業した(株)あきた六次会は、オリジナルブランド鶏「火内鶏(ぴるないどり)」の養鶏から製品加工、販売まで手がけます。
代表取締役の白川懸士さんにお話を伺います。
「秋田には美味しい食材がたくさんありながら、加工力、販売力、発信力が弱いために、全国に知られておらず流通していないのが課題です」と話す白川さん。
秋田の良いものをブランド化していきたいと考え、建設業、農業、曲げわっぱ製造業などを営む10人の株主が集まって、2010年にあきた六次会を立ち上げました。
日本三大美味鶏と呼ばれる比内地鶏は、通常、雌鶏だけを使用します。
「雄鶏が処分されてしまうのはもったいない」と、雄鶏も食用として加工できるよう、5年間かけて研究と改良を重ね、自社オリジナルブランドの火内鶏が誕生。
「餌の中に特殊な乳酸菌を混ぜ込むことで、肉が硬い、臭みがあるといった雄鶏のマイナス面を克服することができました。2015年の第3回チーム・シェフ・コンクールでは「三浦健司賞」を受賞し、雌鶏よりも美味しいと審査員の方から高評価をいただきました」
自家製火内鶏の正肉、しゃぶしゃぶ肉、ハム、ウインナー、スモーク商品、焼き鳥などを製造・販売しています。
雌鶏だけでなく雄鶏もいるあきた六次会の鶏舎には、「コケコッコ〜!」と元気な鳴き声が響きます。
「雄鶏は、餌をたくさん食べるしケンカをするし手がかかるけれど、可愛いですよ」とニッコリ笑うのは、毎日鶏の世話をする三浦百合子さん。
鶏舎には、白川さんが営む砕石場で出た石の粉を撒いています。
気泡を含む石の粉に匂い成分が吸着し、糞尿の臭いが少なく鶏のストレス軽減に役立ちます。
質を高めた比内地鶏である「火内鶏」は、通常の比内地鶏と比較すると旨み成分である遊離グルタミン酸が豊富で、高タンパク、低カロリーであることが実証されています。
主に雄鶏の肉を使用し、本場ドイツの国家資格である食肉加工マイスター直伝の技で作られた鶏ハムは、歯ごたえと旨みたっぷりの一品です。
試験機関:一般財団法人日本食品分析センター
検体:鶏もも肉
他の地鶏と比べて飼育期間が長い比内地鶏は、どうしても高価格になり、特別な日のご馳走という位置付けになりがちです。
「きりたんぽ鍋」のイメージが強く、メニューが限られてしまっている現状もあります。
「お手軽に食べられるように工夫して、日常的に比内地鶏を味わってほしい」と、あきた六次会では手頃な価格で購入できる少量の燻製スライスや、焼き鳥を販売しています。
ゆくゆくは、米や野菜の6次産業化にも取り組みたいと考える白川さん。
「秋田には先人が残したたくさんの文化があります。これらを磨いて、地域全体で盛り上げていき、次世代へ継承していきたい」 地域産業への想いを胸に、さらなる挑戦を続けていきます。